スリジェ・トピックス(第11回:2005/05)

今回のトピックは、ワインと料理のお話です。

ワインの作り方、品種、銘柄、産地に関しては、沢山のワインの文献が出版されていますので、そちらを読んで頂く事にして、ここでは私なりのワインと料理の相性、特に料理を作る時、使用するワインについて、又、料理を食べる時に飲むワインの選び方等を今までの経験を踏まえて、料理人から見た目でお話します。


Vin(ヴァン)ワイン(ぶどうから作る醸造酒

ぶどう果汁は、アルコール醗酵に必要な糖度、酵母、温度などの条件が満たされれば比較的簡単に自然発酵に依ってワインになる為、紀元前の最古の人類は偶然それを発見したようです。それ故にワイン作りの研究の多くは、ワインその物を作ることでなく、保存の際の変質や、ぶどう栽培における害虫や病害、気候不順などの天災に対しての耐性をつけることに多くの労力を割いてきました。

古代ローマにもワイン文化がありましたが、オーク樽を使うようになってから輸送、貯蔵、熟成の技術が急激に進展し、すでに今日のイタリアワインとかなり似たものを作っていたと考えられます。中世に入ってから修道院がワイン作りの中心になり、ぶどう栽培地の選定、栽培技術、醸造技術、設備、器具に至るまですべて完成の域に達し、洗練されたワインが作られる様になり、今日に伝わっています。フランスではシャンパーニュ地方、エペルネ近くのベネディクト派修道院の糧食係り修道僧ドン・ピエール・ペリニョンがワイン製造における数々の技術を開発し今日に至っています。



ワインの分類

 ワインは色、糖分、質、製造法で4種類の分類ができます。

色による分類

白ワイン、ロゼワイン、赤ワイン、グレーワイン、明るいワイン(ヴァン・クレレ)、黄ワインの種類があります。

糖分による分類
  白ワインは、アルコール化しなかった糖分の量により分類できる。
辛口(sec,dry,半辛口(demi-sec,semi-dry,半甘口(moelleux,semi-sweet,甘口(doux,sweet)。通常の赤ワインは、残留糖度はゼロです。甘口赤ワインは、酒精強化ワインの分類に入ります。

製造法による分類
  醗酵過程で生じる炭酸ガスを封じ込めたり、蒸留酒を加えたり、加熱する事によってスティルワイン、スパークリングワイン、酒精強化ワイン、ヴァン・キュイ、ヴェルモットに分けられます。

質による分類
  ぶどうの産地、品種,製法等を規定し、法律で定めた分類。
A.O.C ア・オ・セ(Appellation d’Origine Contrôlée,原産地統制名称)
V.D.Q.Sヴェ・デ・ク・エス(Vins délimités de qualité supérieure,優良品質指定ワイン)



栄養学からみたワイン

ワインには、アルコールが含まれていますので度を超して飲む物ではないのですが、人体に500〜800カロリーの熱量を供給し、数多くの無機塩類、鉄分、タンニン、ビタミンBをもたらす物でありますから、抗毒素剤としての働きや、無機質の供給、滋養となる働きがあります。一番大事なことは、質の良いワイン,化学的な処置を施してなく、防腐剤、添加物を加えてない出所の明らかなワインを飲むと言うことが大事です。この様なワインは、かなり高い物でありますが、健全な食品で手ごろな値段のワインの中から、自分好みの味を見つけ出すのも、ワインを飲む楽しみの一つです。
“ワインを作るのはカーヴである”と言う格言があるように、高額なワインでも管理の仕方で良くも悪くもなります。地下室のカーヴを作るとなるとかなりのお金がかかりますが、現在ではワイン用の電気冷蔵庫が色々な種類出回っていますので、家庭用のカーヴを使用すると良いでしょう。

料理に使用するワイン
  飲むワインでなく、料理に使用するワインは、どういう物を使えばよいかと言う質問をよく受けますが、これも飲用と同じで添加物の無い健全なワインを選ぶと良いでしょう。もちろん高額なワインを使って料理を作るとそれなりに味も良くなりますが、飲むワインと同じ物を使う必要はありません。ただその時飲むワインと同じ産地,品種の物を使用すると味のバランスはいいと思います。たとえばCoq au Vin(コッコオヴァン)若鶏の赤ワイン煮と言う料理がフランスの各地方にありますが、ブルゴーニュ地方では、ブルゴーニュワインを、アルザス地方では、アルザスワイン、ボルドー地方では、ボルドーワインを使って調理し、多分、飲むワインも地元のワインを飲んでいると思いますので、同じ名前の料理でも産地に依ってぶどうの品種が違うように、若鶏の赤ワイン煮も地方によって味わい、色合いが異なります。赤ワインソース,白ワインソースにしても同じ事が言えます。特に肉料理に良く使う赤ワインソースは、煮詰めてから作る事が多いので,出来上がりの色、酸味に差がありますので、自分の好みの味、出来上がりの色を、想像してワインを選ばれる事をお勧めします。



私なりの料理に合ったワインの選び方と飲み方

お魚料理には、白ワイン。お肉料理には、赤ワインとよく言われますが,必ずしもそうする必要は無く、自分の好みで選んだ方がいいかと思います。又、ワインをおいしく飲む方法としてよく言われる事は、温度とワインによってグラスを替えると言う事です。フランスワインについて言えば、フランスのぶどう酒生産地には、夫々その土地のワインによく合うように考え出された特有の形のグラスがあります。グラスの形状、透明度、厚みはワインを味わう上で、非常に大きな要素となります。

大きくて深いグラスは,一杯に注がないためのもの。
丸くふくれているのは、中に入れたワインの香気を広がりやすくする為のもの。
口がすぼまっているのは、ブーケをよく閉じ込める為のもの。
と、このようにグラスにこだわるだけでも、おいしく味わう事ができます。

次に飲み頃の温度。これは好みもありますが、一般の目安を書いておきます。

甘口の白ワイン、シャンパン  2〜5度

辛口の白ワイン        5〜8度

ロゼワイン          8〜10度

軽い赤ワイン         10〜12度

ブルゴーニュのグラン・ヴァン 15〜17度

ボルドーのグラン・ヴァン   16〜18度

 

それでは、料理別に“スリジェ”のワインリストの中から選び相性を書き出してみます。料理人から見た目ですので、セオリーから離れている点もあると思います。私だったら、自分の作った料理をこのワインと飲んで欲しいと言う願望も入っております。

生ハム、テリンヌ、パテ等の豚肉を加工したオードヴル

白ワイン好みなら辛口で比較的軽いもの、
 プティ・シャブリ、マコン・リュニー、プュイ・フュメ


赤ワイン好みなら比較的軽いもの、
 
ボルドー・シュペリュール、マコン・ルージュ、ボジョレ

ロゼ・ワイン好みなら、
 アンジュ、コート・ドゥ・プロヴァンス

フォワ・グラの前菜

白ワイン好みなら(甘口) ソーテルヌ、ゲヴェルツトラミネール、
        (辛口) ムルソー、リースラン、シャンパン、モンラッシェ

赤ワイン好みなら   
ポルト酒、ボーヌ・ロマネ、ミュズニー

魚貝のマリネ、牡蠣等

白ワイン好みなら辛口か半甘めのもの、
 プュイ・フュイセ、シャサーニュ・モンラシェ、プュイ・フュメ、カシ、ミュスカデ、リースラン、サンセール、シャンパン

赤ワイン好みなら、さっぱりした口当たりの良い ボジョレ・ヴィラージュ、シノン

ロゼ・ワイン好みなら辛口のもの   バンドール、コート・ドゥ・プロヴァンス、タヴェル

魚料理

網焼き等、シンプルな調理方法の料理には、 辛口の白ワイン辛口のロゼ・ワイン。

クリームソース、バターソース等、コクのある料理には辛口の白ワイン
     グラーヴ、シャブリ、プュイ・フュイセ、リースラン等


ソースが甘め、酸味のある料理には半甘口の白ワイン
     ゲヴェルツトラミネール、モンバジャック、ミュスカ、


赤ワイン好みの方には軽いコクのないボジョレ、軽いメドック、グラーヴ等

肉料理

鶏、ウサギ、豚肉等の白身肉

白ワイン好みなら、グラーヴ、ムルソー、ヴヴレー
赤ワイン好みなら、あまりコクの無いメドック、グラーヴ、ボーヌ、ボジョレ、シノン

白身肉の赤ワイン煮、赤ワインソースの場合
サンテ・ミリオン、シャンベルタン

牛、鴨、仔羊等の赤身肉は
充分熟したメドック、グラーヴ、サンテ・ミリオン、ポムロ
―ル、コート・ドゥ・ボーヌ、ムーランナヴァン、エルミタージュ、コート・ロティ

赤身肉の煮込み料理には
ボルドー・シュペリュール、カオール、メルキュイ、コート・デュ・ローヌ

野鳥類
白ワイン好み    シャンパン、ヴァン・ジョーヌ
赤ワイン好み    マルゴー、サン・ジュリアン、グラーヴ、ミュズニー、アルボワ、エルミタージュ

野獣類
ポイヤック、ポムロール、シャトー・ヌフ・デュ・パプ

チーズ

白かびチーズ
ポムロール、ボジョレ、メドック、サンテ・ミリオン、グラーヴ等


青かびチーズ
白ワイン好みなら、ソーテルヌ、ムルソー、ヴァン・ジョーヌ、ゲヴェルツトラミネール、シャンパン
赤ワイン好みなら、シャトー・ヌフ・デュ・パプ、エルミタージュ

山羊チーズ
白ワイン好みなら、サンセール、プュイ・フュメ、マコン
赤ワイン好みなら、シノン、メルキュイ、ジヴリー
ロゼワイン好みなら、サンセール・ロゼ、ボルドークラレ

デザート
白ワイン好みなら、シャンパン、ヴァン・ムスー、ソーテルヌ、モンバジャック、ミュスカ、ボーヌ・ドゥ・ヴニーズ
赤ワイン好みなら、バニュルス、ポルト、マデイラ、マラガ等

卵料理、スープ、サラダは省略します。

以上、私好みの相性を書いてみましたが、お試しになってみて下さい。