2005/10 Cerisier Topics


第14回トピックは、チーズのお話です。

チーズに関しての文献も又、数多く出版されていますが、ここでは料理に使用するチーズの種類と使い方をお話します。

チーズとは、牛,山羊,羊,水牛のミルクを凝乳酵素や乳酸菌などで凝固させ、水分を切って固めたもの、あるいはそれを熟成させたもので、世界中のチーズを調べてみますと、無限に近い種類があります。こうした多種多様のチーズは便宜上、四つのタイプに分類することが出来ます。

軟質タイプ

熟成させないフレッシュ・チーズと白かび,細菌で熟成させるものとがあります。

カッテージ、マスカルポーネ、モッザレラ、クリーム、リコッタ、カマンベール、ブリ等。

半硬質タイプ

細菌熟成とカビ熟成があります。

ロックフォール、ゴルゴンゾーラ等。
  硬質タイプ

半硬質タイプと製法は同じ。プロピオン酸醗酵の物は、ガス孔が出来、乳酸醗酵の物は、ガス孔がない物が多い。

 ・ガス孔無し チェダー、エダム等。

 ・ガス孔有り エメンタール、グリュエール、ミモレット、ゴーダ等。
  超硬質タイプ

長期間熟成させ、粉チーズにして料理に使うことが多い。

パルメザン、ロマーノ等。

以上がナチュラル・チーズの分類ですが、プロセス・チーズは硬質タイプのチーズを配合し、加熱したり、調味して作ります。チーズの種類は、この様に分かれていますが、原理はどれにも共通していて、動物の乳から水分を取り除いて作ると言う事です。

 

チーズの製造方法から分類をしてみますと、色々な要素の組み合わせに依って違ったタイプになります。

,乳質に依る分類

牛、山羊、羊、水牛の乳質の相違。異なった乳をブレンドしたり、生クリームを加えて,脂肪分を高くする事もあります。

*乳の処理に依る分類

低温殺菌か生乳。

*凝乳の扱いに依る分類

小さく切るか、そのままの形で型に入れます。

*加熱か非加熱、圧縮か非圧縮に依る分類

加熱するか非加熱のタイプがあります。又、型に入れた凝乳に圧力をかけ、中身を固くする硬質、半硬質タイプか、圧力をかけずに中身が柔らかい軟質タイプに分けられます。又、非加熱圧縮タイプ、過熱圧縮タイプもあります。

*塩分,添加に依る分類

表面に塩を振る、塩水に浸す、塩分添加なしの3通り。

*表面処理の方法に依る分類

塩水、白ワイン、ビール、ブランデー等で表面を洗いながら、こすったり、拭いたりして熟成させるウオッシュタイプとそのまま熟成させるタイプとがあります。

  *かびに依る分類

凝乳に埋め込む青かび、表面に着ける白かび、表面に自然に着く白、青、赤かびとに分けられる。

*熟成方法に依る分類

天然のかびが存在する洞くつ等で熟成させるタイプ、温度と湿度を設定した熟成室で熟成させるタイプ、木炭粉、灰等を表面に着けて熟成させるタイプ、わらを着けたり、かびの菌が着いた枝に乗せて熟成させるタイプ、オリーヴオイル等に漬けて熟成と保存をするタイプがあります。熟成させない物をフレッシュ・チーズ、フロマージュ・フレと言う。

 

その他、脂肪分に依る分類製造場所に依る分類がありますが、ここでは省きます。

色々な分類をしてみましたが、味を左右するのは、原材料の種類、質である事は言うまでもありません。乳脂肪、たんぱく質,乳糖、ミネラル等の高い乳からは、味と香りの強いチーズが出来ます。又、生乳か殺菌乳かに依って、チーズの味、質、香りは異なります。

生乳は、そのままなら搾乳後12時間以内に、加熱せず4度Cに冷却した場合は24時間以内に使用します。生乳から作ったチーズの場合,乳腺にすみついていた乳酸菌等のバクテリアが殺菌されずに乳に混入する為チーズの熟成に微妙に影響し、独特の風味を与えてくれます。殺菌乳の場合は、72度Cで15秒間、加熱後、ただちに4度Cに冷却して使用します。加熱することに依ってバクテリアが減少する為、長期保存は可能ですが平凡な風味のチーズになります。一般に生乳はフェルミエ(農家)製に多く、殺菌乳は、大量生産する工場製に多いのが現状のようです。

又,全乳と脱脂乳による味の違い、搾乳時期、エサに依ってもミルクの成分が異なり、味、香りに影響します。

野菜、魚と同じように旬があるのも事実です。

元来、チーズはその土地の地質、気候,飼料、乳の種類等、自然の環境に大きく左右される産物で、ワインと供に土地毎の特色を強く反映しています。

フランス料理で最も主たる食べ方はデザート・チーズとして食後に何種類かを切り分けて楽しみます。

かの有名なことわざ“チーズのないデザートは、片目のない美女のようなものだ”さすがに世界中で最もチーズを消費する国の人の言葉です。チーズとワインは最高のパートナーです。各地にその地方ごとのチーズ、ワイン、郷土料理がありますので、同じ地方のチーズ、ワイン、料理を合わせて楽しむのも美味しく食べるコツかもしれません。ぜひお試しになって下さい。

    普段、スリジェで使用しているチーズの一例

 

最近は日本でも、色々な種類のチーズがスーパー、チーズ専門店で売られていますが、身近にあって料理、菓子に良く使われるチーズを紹介いたします。

 

白かびタイプ

カマンベール Camenbert  非加熱非圧縮軟質白かびタイプ 牛乳 脂肪分45% 

ノルマンディー地方のカマンベール村に由来し、名称は法的な保護はされていないので、世界各地で生産され“カマンベール”と言う名称を使用しています。

パン粉を着けてクロケット、フライにしたり、パートで包んで焼いたりして使用します。オニオングラタンスープのチーズとして使用しても良い。普通チーズケーキは生チーズやクリームチーズで作ることが多いがカマンベールで作ると、より一層風味が増し、おいしく、味の濃いチーズケーキになります。

ブリ Brie 非加熱非圧縮軟質白かびタイプ  牛乳  脂肪分45%以上

その他シャウルス、ヌーシャテル、クーロミエ、スープレム、カプリス・デ・デュー、サン・タンドレ、サン・マルセラン等。

調理方法はカマンベールに順ずる。

ウオッシュ・タイプ

ポン・レベック Pont-l’Ev.êque 非加熱非圧縮軟質ウオッシュタイプ 牛乳 脂肪分45%

ノルマンディー地方のポン・レベック村の名から命名。カマンベール、リヴァロと供に、ノルマンディーの三大チーズと言われています。

リヴァロ Livarot 非加熱非圧縮軟質ウオッシュタイプ 牛乳 脂肪分40%以上

ノルマンディー地方の村名。

その他マロワール、マンステール、ヴァシュラン・モン・ドール、エポワース、シャンベルタン等。

青かびタイプ

ロックフォール Roquefort 非加熱非圧縮半硬質タイプ 羊乳 脂肪分52%以上

ロックフォール村発祥。フランスチーズの中で最も古い歴史をもち、世界中のブルーチーズの範となっていて、パイ料理、肉のソース、ドレッシング、サラダと幅広く使う事が多い。

ゴルゴンゾーラ Gorgonzola 非加熱非圧縮半硬質タイプ 牛乳 脂肪分48%

その他ブルー・ドーヴェルニュ、ブレス・ブルー、ブルー・ド・ブレス等。

シェーブル・タイプ

プリニィー・サン・ピエールPouligny Saint Pierre 非加熱非圧縮軟質タイプ、山羊 脂肪分45%

ベリー地方の村の名前からの由来、春から秋にかけてが食べ頃、別名エッフェル塔とも言う。

野菜と合わせて前菜にしたり、ラヴィオリのように包み込んだり、オリーヴ・オイルに漬けてサラダ仕立てにしても良い。

その他ピコドン、ピラミッド、ヴァランセ、サント・モール、カベクー、バノン、シャビシュー等。

フレッシュタイプ

フロマージュ・フレ(フレッシュ・チーズ) Fromage frais すべての乳 脂肪分40%〜45%

クリーム状の白いチーズの事でフロマージュ・ブランとも言う。

熟成させる前の段階で水分を切った凝乳で、オードヴル、魚料理、肉料理、野菜料理、デザートと幅広く使用できます。フランスのチーズケーキは一般には、このチーズを使用することがほとんどです。

その他マスカルポーネ、リコッタ、プティ・スイス、ブルソー、ブルサン、ブリア・サヴァラン等。

セミハード・タイプ

トム・ド・サヴォワ Tomme de Savoie 非加熱圧縮タイプ 牛又は脱脂乳 脂肪分20〜40%

サヴォワ地方で作るトムの総称。

ねっとりとコクがあり香りが強いので、ポテト・グラタンにしたり、野菜と一緒にパートに包み込み加熱し、溶かして食べると尚一層風味が増す。

その他ルブローション、サン・ネクテール、カンタル、モルビエ、ベビー・ベル、ミモレット等。

ハード・タイプ

コンテ Comté 加熱圧縮タイプ 牛 脂肪分45%以上

コンテ地方の名前からの由来、グリュエールと同タイプのチーズでグリュエール・ド・コンテとも言う。スイスのグリュエールと同様に、チーズ・フォンデュを始め、ラクレット、クロック・ムシュ、グラタン、前菜、魚料理、肉料理と万能のチーズです。

その他グリュエール、エメンタール、ラクレット、ロマーノ、パルメサン等同様に万能チーズです。

 

身近にあり比較的手に入りやすいチーズの例を書き出してみましたが,この他、世界中に町、村の数と同じ位の種類があります。日本の食材に置き換えてますと“お漬物”と同じような気もします。別の機会にチーズを使用した料理の紹介をします。

次回はクリスマス料理の予定です。