第16回トピックは“ガレット・デ・ロア”Galette des Roisのお話です。

新年を祝うお菓子“ガレット・デ・ロア”とは、王様のガレットと言う意味。フランスでは古くから愛されてきたとても美味しい伝統菓子です。1月6日の公顕節(エピファニー、Epiphany)のお祝いに食べられるものです。フランスのお菓子屋さんの店頭には、一月中並べられています。2枚の円形に切り抜いたパイ生地で、アーモンド・クリームを包み、表面に美しい唐草模様を描いて焼きます。クリームの中には、1個のフェーヴと呼ばれる小さな陶製の人形を入れてあります。人々が集まり、このお菓子をいくつかに切り分けて食べますが、もしも、このフェーヴが入っている一切れに当たったら、その人は,王冠を被り、その日一日は王様になることが出来、みんなに命令を下す事が出来ると言う遊びが、フランスでは昔から伝わっております。そしてこの1年良い事があると言われています。

1年を占うガレット・デ・ロアに仕込まれたフェーヴの由来

ガレット・デ・ロアの中には、仕込みの段階でひとつだけフェーヴが入れられます。フェーヴ Fèveとは直訳すると“そら豆”の意味です。フェーヴをお菓子の中に入れる伝統は11世紀頃、ブザンソンの教会で始められた習わしに由来していると言われています。この教会では、後継者選びの際、パンに金貨を隠して切り分け、それが当たった人を後継者と定めていました。この風習が他の教会にも伝わり、次第に教会の外にも広まっていきました。貧しい家庭では本物のそら豆を入れ、貴族やお金持ちの家では金貨を入れていたそうです。やがて御公言の祝日に食べるお菓子にも同様に入れられるようになり、次第にキリストに関連した陶器の人形に変わっていき、現在では宗教上のモチーフにとどまらず、フルーツ、動物、乗り物、店のロゴやマークが入った物など多種多様なフェーヴが用いられ、娯楽性の部分が大きくなってきています。もともと、何かを選出する方法にそら豆を用いることは古代ローマの時代にすでに行われていたようです。

 

ガレット・デ・ロアは、折りパイ生地の中にアーモンド・クリームが入るのが基本です。

パイ生地を使ったガレットのバリエーションとして、ピスターチやヘーゼルナッツのクリーム、アーモンド・クリームにカスタード・クリームを混ぜたもの、チョコレート、フルーツを入れたものもあります。良質のバターを使って作られた折り込みパイとクリームの組み合わせは、フランス菓子の中では素朴な菓子ですが、すばらしいバランスの富んだお菓子です。

上面に描く模様は特に決まりがある訳ではないようです。

このお菓子も地方によって地域性が有り、プロヴァンス地方ではリング状のブリオッシュに砂糖漬けにしたフルーツを散らしたもの、ボルドー地方では、砂糖漬けのレモンを散らしたブリオッシュ、ロレーヌ地方ではガレット以外に、ベニエにフェーヴを入れたもの、ノルマンディー地方ではクリームの入らないブリオッシュ、クリームの入らないフュイタージュだけのガレット等があります。

近年フランスでもカトリックのエピファニーの祝日のお菓子と言う意識は、若い世代を中心に薄れてきています。この時期に毎年食べる美味しい、楽しいケーキと言う意識で食べ、ゲーム感覚として楽しんでいるようです。ガレット・デ・ロアを囲んでお祝いをし、切り分けたガレットにフェーヴが入っていたら、その夜はその人が男なら王様、女なら王妃様になり、ガレットにのせてあった紙の王冠を被りVive le Rois 王様、万歳Vive la Reine 王妃様、万歳の祝福を受け、シャンパン等で乾杯します。この幸運はその後1年続くと言う遊びですが、フランスの人々にとっては1年に一度の、人々の暮らしに根付いている楽しい行事です。毎年この時期にガレット・デ・ロアを食べなくては、新年を迎えた気がしない、今も変わらない新年の風物詩でもあります。

 

Galette des Rois  ガレット・デ・ロアの作り方

材料;直径21cm×厚さ5mmのパイ生地  2枚、アーモンド・クリーム 250g、 フェーヴ 1個、卵黄 1個、糖度30度のシロップ 適量。

作り方;

@ 天板にパイ生地一枚を拡げ、中央にアーモンド・クリームを薄く絞り平らにならし、フェーヴを1個入れます。生地の縁に水を塗ってもう1枚のパイ生地を被せ、縁の重なっている部分を強く押さえた後、冷蔵庫で休ませます。

Aガレットの表面に塗り卵をして、ナイフで縁を押さえ、上面に模様を描きます。

B180度Cに熱したオーヴンに入れ、45分間焼成します。最後に230度Cのオーヴンに入れ、全体にきれいな焼き色を着けます。

C焼成後、表面にシロップを塗って仕上げ.紙の王冠を乗せます。

*昔からある伝統菓子です。あまりアレンジしないでシンプルに作りシンプルさを味わっていただきたいですね。

*ガレットと呼ばれるぐらいですから、らしく平らに丸くしっかり焼いて下さい。

 

 

Galette des Rois aux Amandes

 

次回のトピックは前菜で使用する“お魚のマリネ”の話を予定しています。