24回トピックは“フランスの料理”についてのお話です。

 前回のトピックでお話したようにフランスには、気軽に、適切な値段で食べられる“フランスの料理”が数多くあります。ガイドブックのミシュランでも、特別なマークを付け、QUARITE PRIXカリテ・プリ(質と価格)この価格にしては、お得という店を紹介しております。

 今回はその様なビストロ、ブラッスリー、カフェ等での定番料理を紹介します。
又、思うところあり、
この数年間、そのフランス料理を原点に戻って見直したいと言う思いで、毎年、フランスの地方に出掛けては、その地の料理を食べ、日本人好みの味にアレンジしては、メニューに取り入れてきました。33年間、調布でフランス料理店を営んで参りましたが、今考えている構想は、すべてがトップクラスでなくても、料理だけは最高のテクニック、素材を駆使し、フランスの料理の原点である地方料理を美味しく、召し上がって頂くカリテ・プリなメニューをお届けする。そんな店に変貌する事です。

日本人のイメージするフランス料理は、単なる食べ物だけではなく、それを取り巻く環境内装調度品食事時の服装什器備品サーヴィス料理ワイン等の飲み物でフランス料理のイメージを形成しています。これらは、実は、料理ではなくガストロノミーと言う別の言葉で表現しなくてはなりません。
ガストロノミー 飲食を楽しむための術の事で社会の序列や富の誇示、外交の成否、人間関係の成立、人間性の表現などに、食事が密接にかかわってきたフランスでは1835年にフランス学士院が正式に採用した語で、日本では、食べる事を表向きは動物的な行為としておおっぴらに語ることをはばかってきた為、ガストロノミックな言葉を造ってこなかった為このような語がありません。

私自身、長年、このガストロノミーの世界で過ごしてきましたので、少しづつガストロノミーの枠をはずし、自分自身もお客様も肩肘張らない店作り、料理を目指し、今まで作ってきた料理はもちろん、もっと原点に帰った料理を時には現代的にカリテ・プリの精神で作っていこうと思っております。但し、お得な価格で提供する分、内装、調度品、サーヴィスのイメージが変わってくるのは、仕方がないかと思うと同時に来店されたお客様にはご理解を頂きたいと思っております。

それでは、これから私自身が考えている新しい店に於けるカリテ・プリの料理の案内、及びフランスのビストロ、ブラッスリーの定番料理のお話をします。

フランス料理と言えばワインを思い浮かべるように、ワインを使った料理、ソースが沢山あります。お魚、お肉の赤ワイン煮、白ワイン煮、赤ワインソース、白ワインソース、、、、、、。代表的なのは牛肉、鶏肉の赤ワイン煮、お魚の白ワイン煮。それぞれワインの産地名を付けて、ブルゴーニュ風、ボルドー風、アルザス風、、、、となります。

その他、その土地の特産物(飲料、野菜、肉、魚、チーズ、、、)に地方名を付けただけで料理名になる場合が数多くあります。

先ず地方別にみてみますとブルゴーニュ地方のビストロですと、エスカルゴ・ブルゴーニュ風、牛肉、鶏肉の赤ワイン煮、ブルゴーニュ風内臓料理、フォンデュ・ブルギニョン、ポテ・ブルゴーニュ風、、、、、、と夫々、特産物を使った地方料理がメニューに載っています。

私自身、この中でも特にやってみたい料理は牛肉、鶏の赤ワイン煮です。こう言う煮込み料理はその店のソースのベースが一目瞭然で解る一品ですから魅力を感じます。

          

   若鶏の赤ワイン煮、ポテト・グラタン添え        キシュ・ロレーヌ


 次にボルドー地方。ボルドー風、ボルドレーズと言えば、赤ワインソースを使った料理に用いる表現。牛肉のステーキ、ボルドー風と言えば、サーロインステーキに骨髄とエシャロットで作る赤ワインソースをかけた物と決まっています。八目うなぎの赤ワイン煮、ボルドー風、セープ茸のボルドー風、仔牛の腎臓、ボルドー風。

ステーキに赤ワインソース。茸の季節になると少しガーリックを効かせたボルドー風ソテー。常に載せてみたい料理です。

南に下がってプロヴァンス地方に行きますと、ア・ラ・プロヴァンサルと言って、オリーヴ・オイル、トマト、ガーリックを使った料理が多く目立ちます。地中海野菜を煮込んだラタトゥイユ、トマトに詰め物をして焼いたプロヴァンス風トマト、マグロのプロヴァンス風、オレンジの香りのする牛肉の煮込み、ドーブ・ア・ラ・プロヴァンサル。メニューに載せたい魅力的な料理が沢山あります。


         

    的鯛の網焼き、バルサミコ・ヴィネガー風味    鴨のコンフィ、ポテト・ソテー添え

 北に行きますとアルザス地方。この地も又、ワインの産地。特に白ワインを使った料理が目立ちます。代表的な雄鶏のリースリング・ワイン煮、シュークルート、アルザス風、がちょうの煮込み、タルト・フランベ、スパッツル・アルザス風、、、、、と作ってみたい料理が数多くあります。

ノルマンディー、ブルターニュ地方に行きますと、ア・ラ・ノルマンドと言ってノルマンディー地方の特産品であるバター、生クリーム、リンゴ、シードル、カルバドス、魚、貝、甲殻類を使った料理、ブルターニュ地方にはブルトンヌと言う料理、特産品を使った料理が沢山あります。有名な一品に舌平目のノルマンディー風、タルト・ノルマンドと言うりんごのタルト、ガトー・ブルトンヌ、ブルターニュ風クレープ、、、、、メニューに載せたい料理が一杯あります。


           

         シュークルート、アルザス風     赤えいのクールブイヨン煮、黒バターソース

 パリに戻ってビストロ、カフェを見てみますと、何処の店にもあるのがステーキ・フリットと言うお決まりの牛肉のステーキに山盛りのポテト・フライ。ムール・フリットと言うとムール貝のスープ煮に同じく山盛りのポテト・フライが付きます。ステーキ・タルタールと言う生牛肉の料理、ステック・アッシェと言うハンバーグにもポテト・フライがたっぷりと添えられ、フランス人のポテト好きが良く解かります。

その他、コンフィと言う料理には、たっぷりのレンズ豆の煮込みが添えられます。シュークルートには酢キャベツの煮込み、カスレには白いんげん豆の煮込み、クスクスには、おかわり自由のスムール、見ただけでお腹が一杯になりそうな料理が沢山あります。どれもメニューに載せてみたい一品ですが、日本人に合わせて量は調整しなければと思っていますが、そうするとフランスの料理のらしさが無くなるような気もしますが、、、、、、。


        

開店以来のスペシャリテ、ミル・エ・ユンヌ・フォイユ    カスレのセット・メニュー

色々な料理を書いてみましたが、まだまだ書ききれないぐらいの作りたい料理があります。
その他のフランスの伝統的な料理、作ってみたい料理は、新しい店に於いて披露していくつもりです。