スリジェ・トピックス(第8回:2005/2)

第8回トピックは世界の3大珍味のお話です。

フランス料理で最も高級な食材であるフォワ・グラ、トリュフ、キャヴィアは、世界の三大珍味と言われ、フランスの誇る三大名品であり、世界中のグルメ達が、絶賛する物であります。今回は、これらについて産地、処理の仕方、調理方法、代表的な料理等を、ご紹介します。先ず、フォワ・グラ。トリュフ、キャビアは、自然の恵みをそっくり頂いているのに対し、フォワ・グラは、人為的な名品です。

 

Foie Gras d’Oie et de Canard  鵞鳥と鴨のフォワ・グラ

強制飼育により肥大させた鵞鳥又は鴨の肝臓の事でfoieはレバー、grasは脂っこいの意味でgavage(ガヴァージュ)とよばれる強制飼育をし、主にとうもろこしで肥育させる。

古代ローマ人は鵞鳥は聖なる動物として見るだけでなく、滋養分の豊かな動物として見ていたようです。その肉と肝臓が、その時代の美食家に高く評価されていたからで、肝臓を大きくするために、ローマ人は色々な方法を知っていたようです。

フォワ・グラは、珍味中の珍味で、味、香り、価格の点でも最高級の食べ物です。美しい光沢とすばらしい芳香があり、言葉では言い表せない深い味わいがあります。口当たりは鮟鱇の肝とよく似ているので,鮟鱇の肝を“和製フォワ・グラ”と、言われる事もありますが、フォワ・グラの味には、およぶべくもなく、ねっとりして、口の中に広がる独特の風味に勝る物はないとさえ言われております。小さな一切れを舌に乗せるだけで、フワーッと自然に溶け、口中に広がるコクとなめらかな食感が、なんとも言えない無上の物であります。

 

フォワ・グラは、あらゆる物の中で、最も美味な料理の一つとされています。

このフォワ・グラにトリュフを入れると、更に香り高い物になります。トリュフは西洋松露と呼ばれるきのこの一種で、フォワ・グラと並んでフランスが世界に誇る名産です。強い独特の香りが珍重され、他の材料と組み合わせた時、それらに、すばらしい香りを移します。トリュフとフォワ・グラは昔から“宝石箱と真珠のように相ふさわしいもの”と、たとえられており、この二つの珍味の組み合わせは、フランス料理の最高傑作とさえ言われております。

 

現在、フランスでは南西部地方(トゥールーズ周辺、ペリゴール)で、鵞鳥と鴨。ヴァンデ、ロアール地方では鴨。アルザス地方では鵞鳥のフォワ・グラを生産しています。又フランス産だけでは足りないので、イスラエル、ハンガリー等から、輸入し、日本には再輸出しているのが現状です。

フォワ・グラは、鵞鳥、鴨の品種、育った環境,餌、飼育法に依って微妙な違いがあります。

フォワ・グラの良し悪しは、先ず色合いから。色は少しクリーム色を帯びた白色でピンク色の筋が入って入る物。そしてキメの細かい、しっかりした物が良い。

フォワ・グラにはランク付けがあり、最上級のエクストラ(600g〜800g)、1級(900g〜1,200g)、2級(500g以下、又は1,200g以上)、3級、4級に分類されます。一般に鵞鳥のフォワ・グラの方が値段も高く、味も良いのでテリンヌ等に多く使用されます。逆に鴨のフォワ・グラはソテーして温製料理に使用する方が向いているようです。又,缶詰め、ビン詰めのテリンヌ、ムース、パテには、鵞鳥、鴨ともに法律による規定が定められています。

 

フォワ・グラの下処理、筋取りの仕方

フォワ・グラの血管、筋を取り除くには、温度が高すぎても、低すぎてもやりにくいので、10度位の温度で行うと良いでしょう。大房と小房に分かれているので、大房の血管、筋は肉の一番厚い部分から下に向けて太いのが1本あるので、中央から開き、指で探って、しごきながら取り除きます。

小房の方は、細かい血管、筋がくもの巣状にありますが、同様にしごきながら取り除きます。又、白い脂肪の塊も取り除きます。

 

フォワ・グラの代表的な料理

Terrine de Foie Gras フォワ・グラのテリンヌ、Mousse de Foie Gras フォワ・グラのムース、

Foie Gras en Brioche フォワ・グラのブリオッシュ包み、Tournedos « Rossini »トルヌド・ステーキ、ロッシーニ風、いずれの料理もトリュフを加える事によって、香り良く、尚、高級な料理になります。Foie Gras chaud 温製フォワ・グラ料理(ソテー,網焼き、ココット仕立て、ポシェ、ロースト等、、、)。

 

 

Truffes トリュフ(西洋松露)

土中に出来るきのこの一種で子嚢菌類に属する。フランスが世界に誇る高級珍味です。日本の松茸と同様に香りが命のトリュフは、使える期間が極めて短く、ごく新鮮なうちに味わう事がポイントです。すばらしい香りと味わいが絶賛されていますが、最近は収穫が少なく、たいへん高値を呼んでおり“黒いダイヤモンド”ともてはやされているのが現状です。西洋松露とも呼ばれ、大きさは、胡桃ほどの物から、握りこぶしくらいの物まであり、形は固まり状かつ、不規則な球状で表面を細かい突起が覆っており、色は黒系と白系があります。内部は若い時は白いが、成熟すると赤褐色になり、大理石状の白い模様が入り独特の芳香を持ちます。主にシェーヌ トリフィェchêne truffierと呼ばれるカシの木の根元、ぶな、栗等の根元〈特に石灰岩質の土〉の地表に近い所に発生し、成長と共に地下30cm程まで下がります。胞子が形成される頃になると、独特の強い芳香を発するようになり、この香りがトリュフの珍重されるゆえんになっています。 


同種の物は、世界各地に分布するが、食用として有名な種類は、フランスで産する黒トリュフと、イタリアのごく限られた地域で産する白トリュフがあり、他にもトリュフと呼ばれる物は何種類かありますが、主な物はこの2つであります。黒トリュフは、Truffe des Gourmet,Truffe du Périgord,Truffe de Franceと言います。白トリュフはTruffe des Magnats,Truffe Piémotaiseと言い、形は不規則で、奇形のじゃがいもの様な形で、色は黄白色で、独特のにんにくのような香りがあり、ごく薄切りにして生で食べる事が多いようです。最近では中国産の物が出回っていますが、フランス、イタリア産の物に比べて、品質が劣り,香気に乏しいのが現状です。

 

採集には特別に訓練した雌豚、犬の臭覚を利用します。林の中で手綱を放された豚たちは、いっせいに落ち葉の間の地面の匂いを嗅ぎ、トリュフのある場所を探し出します。地面を掘ろうとするところで豚の他の好物を与えて気をそらしている間に人間が掘り出します。このトリュフ狩りには、もっぱら雌の豚が使われますが、最近では、訓練させた犬を使う事もあります。

さて、雌豚のほうがトリュフ狩りに有能なのは、トリュフの中に雄豚の性フェロモンと同じ化学物質が含まれており、その匂いを敏感に嗅ぎつけるからではないかと言われています。雌豚のみならず人間も又、この匂いを感じ取り、人の心を興奮させる効果があるようで、媚薬効果がうたわれています。

 

トリュフの選定、下処理、保存法

黒色が強く、大きくて香りの強い物ほど、上等品種です。生のトリュフはなんと言っても香りの物ですから、収穫されてから日の経たないものが良く、寿命は3日が限度と言う人もいるほどです。したがって、使わない分はすぐに保存品にした方が良い。

料理する前に丁寧に掃除をする必要があります。先ず、ぬるま湯に浸けて、表面に着いている土を落としやすいように湿らせ、流水の下でブラシをかけながら洗います。ナイフの先を使って穴に残っている土も丁寧に取り除き、さらに水ですすぎ、乾かしてから使用します。生のトリュフを保存する場合は、溶かして塩を加えたラード又は鵞鳥の脂肪を器に入れ、この中にトリュフを詰め込みます。

加熱処理する場合は、広口のガラス瓶にトリュフを入れ、塩、マデラ酒を適量加え、フタをし、湯煎にして熱処理します。瓶の中でトリュフから汁が出て、香りを充分残す事ができます。

 

トリュフを使用した代表料理

トリュフは、さまざまな料理の材料に使われるが、トリュフを主体とした独自の料理は少なく、料理の飾り、ソース、ファルスやムースの香り着けに使用するのが、一番多い。

Omelette aux Truffes トリュフ入り・オムレツ、  Oeuf brouillés aux Truffes トリュフ入り・スクランブルエッグ、 Truffes sous la Cendre  トリュフの灰焼き、 Rissoles de Truffes トリュフのリッソール、Risotto aux Trufes 白トリュフのリゾット、 Sauce Périgueux トリュフ・ソース、Soupe aux Truffes en Croûte トリュフのスープ・パイ焼き等、、、、、、、、、。

 

今回は、フランス料理を代表するフォワ・グラ、トリュフの説明をしましたが、次回にはもうひとつの珍味であるキャビアのお話を予定しています。尚、3月にはイベントとして、この三大珍味を使用したコース・メニューを予定しています